顎関節症
- 「口が思うように開かない」(顎運動障害すなわち開口障害)
- 「口を開けると痛い」(顎関節痛や咀嚼筋の疼痛)
- 「口を開けると音がする」(関節雑音)
- スプリント療法
- 薬物療法
- 理学療法
- 外科的療法
顎関節症(がくかんせつしょう)とは、顎関節や顎の筋肉の痛み、関節音、開口障害ないし顎運動異常を主要症候とする慢性疾患のことを言います。
その病態には咀嚼筋障害、関節包・靭帯障害、関節円板障害、変形性関節症などが含まれており、日本では「美人病」の俗称があります。
顎関節症の症状
一般に、①顎運動障害、②顎関節痛、③関節雑音(いわゆるこれらを顎関節症の主要3症状と呼ぶ)が、単独もしくは複数合併して発現します。疼痛は主に顎運動時に生じます。
人差指、中指、薬指を揃え(約40mm)、縦方向で口に入れてみましょう。
入らない、あるいは痛みを伴う場合、開口障害が疑われます。
関節円板の転位などしばしば見受けられますが、何と言っても開口障害の一番の原因は、咀嚼筋の緊張。特に、歯ぎしりや食いしばりの癖がある方は要注意です。
顎関節症では、主に、開口時や咬合時などの顎運動時に生じ、静止時には痛みを感じません。顎関節症の原因が咀嚼筋の過緊張による場合、運動時痛の他、圧痛も生じます。
顎運動時痛や圧痛は、深部から起こることが多く、どこが痛いかはっきり特定できないこともよくあります。
口を開け閉めするとき、顎と下顎の間でクッションの役目を果している関節円板が復位する時の「クリック」音。
関節円板がスムーズに移動しない場合、「カクン」という弾撥音である「クリッキング」音と、稀に「ゴリゴリ」、「ジャリジャリ」、「ミシミシ」という低い音の「クレピタス」音という「雑音」が聞こえることがあります。
その他にも、耳の痛み、耳閉感、難聴、めまい、眼精疲労といった眼や耳の症状、頭痛や首、肩のこり等の症状を呈する場合もあります。
顎関節症の原因
顎関節症は異常な開閉口運動や、ブラキシズムなどの顎に加わる異常外力、補綴物異常など多様な原因による咬合異常や筋緊張に起因するといわれています。
また、大きく開口するあくび、笑いといった常日頃の何気ない動作や、歌唱、寝違え、頬杖など生活習慣や、仕事の変化と肉体的心理的ストレスの相乗作用によって、原因となる状態を惹起し、症状が出現する場合もあるなど、複合的な要因によって発症することが多いとされています。
顎関節症の分類
病変が咀嚼筋障害による「筋性」と、顎関節(下顎窩、関節円板、下顎頭、関節包)障害による「関節性」の二つに大別される。
日本において顎関節症の多様な病態に対応するため、日本顎関節学会は、次のようにI~V型に分類を行い、広く臨床に使用されています。
| I型 | 咀嚼筋障害を主徴候とし、その病理は筋緊張と筋スパズム、筋炎である。顎関節部の運動痛と運動障害を僅かに生じることがあり、筋痛を強く生ずる。 |
| II型 | 関節包、関節靭帯、円板後部組織の慢性外傷性病変を主徴候とし、顎関節部の運動痛と圧痛を強く生じ、関節雑音を生ずる。筋痛は弱い。関節鏡下で病変を認める。 |
| III型 | 関節円板の転位や変性、穿孔、線維化を主徴候とする。「クリッキング」音と呼ばれる関節雑音が顕著である。筋痛はなく、顎関節部の疼痛は弱い。 |
| III型a | 復位性関節円板転位:関節円板の位置関係が復位する時に関節雑音(「クリック」音)が確認できる。 |
| III型b | 非復位性関節円板転位:関節円板の位置が復位しない。ひっかかりのための開口障害や顎関節の疼痛がおこる。 |
| IV型 | 変形性関節症。関節軟骨の破壊、下顎窩や下顎頭の骨吸収や変性・添加、関節円板や滑膜の変形異常などの退行性病変を主徴候とし、「クレピタス」音と呼ばれる関節雑音が顕著である。X線所見上も大きな異常を認めるようになる。 |
| V型 | 上記のI~IV型のいずれにも該当しないが、顎関節領域に異常症状を訴える、心身医学的な要素を含むもの。 |
顎関節症の治療法
顎関節症の治療は原則として、原因や誘因の除去する治療法が主となり、顎の安静や咬合異常の整復を目的とした様々な治療法が存在します。
潜行型の場合、薬物療法や、原因となる噛み合せの調整のためスプリントや矯正を行います。
スプリント療法は一般的ですが、顆頭の位置を把握した上で入れなければ危険です。
顎運動時痛や圧痛は、深部から起こることが多く、どこが痛いかはっきり特定できない場合。
当医院では、顎関節痛や咀嚼筋の疼痛の緩和のために、超高輝度近赤外線LED照射装置である最新の先端理学美容機器マシンを使用したリハビリテーションシステムを導入しています。
関節腔内を洗浄することや、内視鏡下での外科的手術を行なうこともあります。
なお、予後については、多くの場合、顎関節症における臨床症状は時間の経過により緩解ないし消失に向かいますが、10~15%の症例では臨床病状の遷延化ないし悪化をきたします。この少数だが重要な患者群についての研究が、今後の課題とされています。